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2022.09 霞沢岳

日程:2022923日(金)~25日(日)

集合:923 1210 上高地インフォメーションセンター横のトイレ前

天候:923日 雨・24日 曇りのち晴れ・25日 晴れ

参加者:田中 宏、森川 直洋、駿谷 明宏、栗秋 慶子、鈴田 祥三、松永 涼太

行程:

923日 上高地~小梨平キャンプ場(幕営)   

924日 小梨平~白沢出合~徳本峠~ジャンクションピーク~K1K2~霞沢岳

K2K1~ジャンクションピーク~徳本峠~白沢出合~小梨平(幕営)   

925日 小梨平~上高地

行動記録:

1日目

 台風の予報により、当初2班に分かれて奥穂高岳南陵と明神岳主稜を目指す計画から変更 し、霞沢岳を目指すこととなった。予約していた電車やバスをキャンセルせず、上高地1210の集合も変更なし。ただし、宿泊は2泊とも小梨平キャンプ場となり、2日目に霞沢岳までピストンするというプランとなった。水上さんの話によると「登山者なら一度は登っておくべき山である」とのこと。トップシーズンの連休、3台まで増便されたバスなどで上高地に全員集合。けっこうな降りになっていた雨がこやみになるのを期待して、インフォメーションセンターで手持ちの食料を食べて待つ。が、結局上がりそうもないと判断し、雨具をつけてキャンプ場へ向かう。1235あっという間にキャンプ場に着いた。すでに結構な数のテントが建っていたが、管理棟近くのエリアに水捌けの良さそうな場所を見つけて、雨の中設営を開始。4テン2張りの間にはスペースがあり、テントの横の木にロープを渡し、ツエルト2枚をタープ状に張って、リビングを確保した。 1400 早くも前夜祭開始。上高地バス停から徒歩10分のキャンプ場泊ということで、皆張り切って酒やつまみを持参している。もし飲み切ってしまっても、売店でいくらでも買えるのだから安心だ。ツエルトに溜まる水をストックで落としながら、ホットワインなどをいただき、体を温める。1600雨がひどくなってきたこともあり、レストランの開店を待って移動して夕食。カツカレーが人気だった。数年前の熊出没事件の対策として、就寝時とテントを離れる際には持参した食料をキャンプ場の外れのコンテナに保管せよとのことであった。夜間はカンやビンのゴミ箱もコンテナの中に移動される。食事を終え、テントでしばらく飲み直すなどして19時ごろ就寝。夜中、風はないが雨が相当強かったため、若干浸水してよく眠れなかったメンバーもいた。

 

2日目

 300 起床 雨は止んでいたが、装備は乾かずすべてがじっとりしている。びしょ濡れのツエルトとロープを回収する。415 予定より15分早く行動開始。気温は高くないが非常に高湿度だったため、歩き出すとほどなく暑くなってきた。500 10分ほど休憩して白沢出合を出発。徐々に明るくなる中、沢沿いのつづら折りの急登を進む。水量が多くなっている小沢を2度ほど渡渉。斜面が急なので、それなりに緊張した。第2ベンチを越え、徳本峠直前の渡渉が最後の水場。ここまでもかなり暑く、思った以上に水を消費したので、この後のハードなアップダウンのために、数名が水を汲んだ。 650 徳本峠着。テント場は空いていたが、昨日の雨の中をここまで上がってくるのは難しかったと思われる。チラチラ青空も見え始めるが、ここではまだ景色は見えなかった。ルートから外れてすぐ上に展望台があるらしいが、期待できない空模様なのでパス。700行動再開してすぐ、登山道はどんどん下っていくと思ったらまた登り返す。今日はずっとこれだぞ、と覚悟する。 755ジャンクションピーク到着。ガスで眺望ほとんどなし。徳本小屋に泊まったというお二人に出会う。805出発。事前に地形図で見ていた通り、ここからずっと150200メートル程度の下りと登りを繰り返す。これが思っていたよりきつかった。道はきちんと整備されているし幅も広いのだが、前日の大雨のためか、足元はかなりぬかるんでいた。木の根が出ていたり、段差が大きいところが続くので、慎重に進んでいく。 ほどなく、徳本小屋に宿泊したという3人組を追い抜く。やはり昨日登ってくるのは大変だったそうだ。小屋泊まりだから登ったけど、とのこと。小梨平から日帰りピストンだと 伝えると驚かれた。 この辺りまでは日差しがなく、気温が低いのがせめてもの救いだった。しかし日が上るにつれ、雲が切れる時間帯が増えて蒸し暑くなってきた。風はあまりなく、トラバースの際などに時々涼風が吹いてきてありがたかった。最低コルと思われるところに、池状の大きな水溜りがあった(地形図にもあり)。登山道はそのすぐ脇を抜けていく。およそ8メートルほどの距離だが、斜度があるトラバースで地面も非常に脆かった。バランスを崩すと池ポチャとなるので、バランスをとりながら慎重に進んだ。何度も「あれがK1か?」と思っても、歩いて先を見るとまだ高いピークがある。ガッカリしながら「きっともう少しだ!」と言いながらまた歩く。花の季節は終わっていたが、あちこちにカラフルな実が生っていて「これはなんだろう?」などと言いながら歩くと、少し疲れが紛れた。K1ピークに向かう登りは、突き上げるような長い急登。ひたすら西に向かって進む我々の、ちょうど真後ろから照らす日差しが強くなっている。もはや日陰もなく、地面は乾い ている。しかしハイステップが続く足元は崩れやすく、落石しないようにと気が抜けない。本当にゆっくりのペースでしか進めない思わず「速いチームに先行してもらった方がいいかも?」とリーダーに聞くと「ここからだったら数分も違わないから一緒に行こう」とのこと。こりゃがんばるしかない。1025K1到着。かっこいい岩のピークである。どうやら写真だけは撮っていたようだが、私はここからの景色を覚えていない。クッタクタだったのだ。水を飲み、地図に目をやり、遠くに見える霞沢岳を眺める。「本当にあそこまでの30分なのか?」と疑いたくなるような遠さだった。「私はここで待ってます」と喉元まで出かかっていたが(口から出ていたかもしれない)、ここまできたんだし、本当に30分で行けるのか確認してやろうという気持ちで腰を上げた。1035 出発してすぐ、大きな岩の下りがあり、全員ストックを片付けた。ここからは岩場のある稜線歩きだ。もちろんそれなりにアップダウンはあるけれど、これまでよりも楽に進めた。ガスが消える時間帯には、今日歩いてきた山や、向かいの明神・穂高の、時々 景色を眺めることができた。 1110K1から35分で霞沢岳に到着。なんというか、拍子抜けするような小さなピーク そして残念ながら眺望はなし。ここから穂高岳の勇壮な山容を眺められるはずなのだと、 心の眼で眺めるがやはり何も見えない。もしかしたらと期待して長めの休憩を取ったが、帰りも長いことを思い出して、集合写真を撮って1130帰途に着く。 折り返してK1までの間の大きめの岩のあたりで、行きに会った3人組とすれ違う。今日中に上高地まで下るとしたら、結構大変かもしれない。もう一泊徳本泊まりなのかもしれな い。1200ほぼコースタイム通り、K1に戻ってきた。ここでも景色の記憶がないこれからもう一度あのルートを帰るのだ。皆で目標時間の確認。レストランの閉店は18時だから、1730までにはオーダーしないと売店のビールはもう少し後まで買えるかな?など、食い気優先で下山目標を設定した。まずはあの崩れやすい急登をどんどん下っていく。段差が大きいのでスイスイとは行かないが、登りよりは速い。ところが、このルートは行きも帰りもコースタイムがほぼ同じ。同じだけ、登り返しが待っている下山とは言い難いアップダウンがきつかった。今朝一度きた道だから、少しは短く感じるかなと考えていたが、それは大間違い。しっかり長く、あの水溜まりからジャンクションピークまで、5回ぐらい偽ピークに騙されてしまった。情けないことに私は大いに弱音を吐いていたが、田中さんのアドバイスで途中から思い切りゆっくり歩いてみたら、息が楽になったこれが私のいいペースなのだと今さら理解する。 1405ようやく本物のジャンクションピーク着。なんと、今朝ここで会った2人組に同じ場所で再会。なんでも彼らが出発する時、小屋番さんに「1030になったら、そこで引き返すこと」と言われてそうしたのだそう。小屋番さんの見立ての正確さに感心するなど。 この次の休憩は徳本峠。なんだかんだ、コースタイム程度のペースで来ていたが、かなり疲れていた。でも「もしかして、小屋で飲み物を買えるのでは?」という期待をモチベーションに立ち上がり「今回登るのはこれが最後」と自分に言い聞かせて進んだ。 下山ルートとの別れ道から小屋方面に進む道が、思いのほかしっかりした登りだったのは計算外であったが、1455に徳本小屋に到着。 徳本小屋では、感染対策のため、宿泊者以外はインターフォンでの応対となっていた。6人全員がコーラ(500円)を注文し、貪るように飲んだ。本当に美味しかった!この時、外で食事をしていたテント泊の登山者が「YouTuberの方ですよね?」と松永さんに 声をかけてきた。顔を見てすぐに分かったのだそう。一緒に写真を撮るなどしていたら、ちょうど北側のガスが晴れてきた。程なくまた煙ってしまったが、束の間、ウェストンが眺めたであろう穂高岳をこの目で見て、写真に収めることができた。 1510に徳本出発。冷たいコーラはさすが霊験あらたか、徳本峠からの下りは元気いっぱいのスピードで下山した。コースタイムを大幅に短縮し、1610には白沢出合まで下りきり、そのままの勢いで散策している人たちを追い抜いていった。 1710、小梨平キャンプ場到着。すっかり爽やかに晴れて、キャンプを楽しみに来ている人たちのテントがびっしりと立てられていた。カップルやグループが折りたたみの椅子や テーブルまで持ってきて、優雅に梓川越しの穂高岳の景色を楽しんでいる。そんな中、テントの中から濡れたものを外に出してとりあえず干し始める私たち。レストランへ偵察に行ったが、かなり混雑しているので断念。芝生エリアのテーブルを確保して夕食を取ることにした。カレーメシが人気であった。酔っ払う前に、精算と翌日のスケジュールを確認。電波もしっかりあったので、お風呂屋さんや電車バスの時間を調べ、鉄道マンが全員分のバスを予約してくれる。帰りのあずさの予約まで完了してから、心置きなく飲み食いした。 20時ごろ解散。明日はテントをたたんで上高地へ向かうだけなので、気楽だ。テントの中で荷物の整理をし、残った酒とつまみを平らげて就寝。

 

3日目

 530起床。各自テント内で朝食後、テントを片付け、荷造りをする。朝のバスで上高地 に着いたらしい人が「そこ空きますか?」とやってきて、空いた場所にすぐにテントを張り始めた。本当に気持ちのいい朝で、名残惜しいような気分で写真を撮ったり散歩したり。1日ずら して土曜日からの3日間だったら、元のルートで行けたかもしれないと思いつつ、こんなことでもなければ霞沢岳まで往復13時間のルートを一気にピストンすることもなかっただろう。いい機会だったと思う。本当にしんどかったけれど。720のんびり出発。新島々行きの始発バスがで出る750までお土産を買ったりして過ごす。950新島々着。松本電鉄1008発松本行きに乗り、1037着。 食事処もある温泉施設「湯の華銭湯 瑞祥」まで10分ほど歩き、1230までゆっくりする。タクシーがいっぱいだったので、また10分歩いて松本駅へ向かい、1310発のあず さなどに乗車しで各自帰途についた。(栗秋)