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2022.01 赤岳

日程:2022129日~30

集合:茅野駅 1/29 9:10

メンバー:森川、田中、星、駿谷、大野、赤星

行程:1/29 茅野駅9:25→(バス)→10:03美濃戸口10:3011:30美濃戸山荘11:50

      ~14:00行者小屋(幕営)

   1/30 C1 6:408:30赤岳山頂9:0010:00 行者小屋(テント撤収)10:40

      ~11:45美濃戸小屋12:00→13:00美濃戸口14:45→(バス)→15:23茅野駅

 

1/29

 新型コロナのまん防が各地に発令されたこともあってか、あずさ1号はどの座席も隣がだいたい空いており、お蔭で気兼ねなくオーバーパンツやスパッツの装備を車中で終えて9:07に茅野駅へ到着。美濃戸口行きのバスは立客こそ出なかったものの満席状態で、冬の八ヶ岳の人気が伺える。山裾の別荘地域に入ると、車窓からは諏訪大社御柱祭のご神木が恭しく横たえられている景色が眺められた。バスは定刻通り10:00過ぎに美濃戸口に到着、登山届をポストに入れ、最終の装備、パッキングなどを行い10:30に出発。

 今年は雪が多いもののトレースはしっかりと踏み固められて凍っておりワカンは不要。アイゼンがしっかり噛む。本日の幕営地である行者小屋までの行程は急斜面も少ないので、チェーンスパイクの方が軽くて歩きやすいようだ。11:30に美濃戸山荘着。ここで赤岳鉱泉に向かう北沢と行者小屋に向かう南沢に分岐。南沢は途中何度か雪の積もった仮設橋を右岸左岸と渡りながらなだらかな沢道を進む。標高1900m手前辺りからトレースは沢を離れ少し急登が続く。気温は零下だが風も無く、少し早めのペースに夏のように汗が噴き出す。急登が終わりなだらかな樹林帯をしばらく進むと、突然木々の向こうに赤岳から横岳への稜線が浮かび上がる。快晴で濃い八ヶ岳ブルーの下、夏のコースタイムと同じ3時間30分で14:00に行者小屋に到着。

 テン場は前日までの造成地跡がたくさん残っており、特に整地の苦労もなく4テンと2テンを隣り合わせに張り終える。目の前には八ヶ岳の絶景が広がるもののマイナス14℃の極寒には勝てず、全員そそくさと4テンに集合し宴会が始まった。このところ恒例となったホットワインと楽しい会話で体と心が温まる。マッシュポテトとコンビーフのオーロラソース和えは赤ワインとの相性が最高。そのまま夕食の鍋まですっかり平らげ、翌日に向けて十分過ぎるほどエネルギーを充填して20:00に就寝した。無数の星、無風、そして極寒の夜。

 行者小屋のテン場は料金が高めの一人2,000円(一張りではない!)。水場は凍っていて使えず、水は雪を溶かして作らなければならないが、ちゃんとしたトイレがあり寒風に素肌を晒さずに用を足せることは有難い。

 

1/30

 2日目は硫黄岳から横岳を経て赤岳までの縦走と長めのルートを予定している為3:00起床。外気温はマイナス20℃に迫る寒さではなかったか。テント内部の結露が凍りついて出来た霜が、夜中にテントが揺れるたびに雪のようにパラパラと顔の上に降り注ぎ、シュラフに入れていない液体は全て凍るほどだったが、4人の体温や万全な防寒装備のお蔭で、意外とみんな睡眠中の寒さは感じなかったようだ。4:00出発を目指してお湯を沸かして各自朝食を摂り準備を整えたが、調子が万全でないメンバーがいたこともあり、行程を文三郎尾根から赤岳に登り地蔵尾根を下るルートにし、出発を6:30に変更した。少し時間が出来たのでシュラフに下半身だけ入れてゆっくり談笑していたが、寒さもあっていつの間にか、みんな全身をシュラフに潜り込ませて、思わず本格的に眠るところだった。

 稜線の向こうに日が上り始めたのか、辺りが薄明るくなってきた。体調が思わしくないメンバーに一人が付き、先に2人で下山し美濃戸口で待つことにした。6:40、残る4人がヘッテンを消して文三郎尾根へ向けて出発。間もなく次回山行予定の阿弥陀岳北陵への分岐。そちらはあまり人が入っていないのか、トレースはあるものの積雪が多くラッセルが大変そうだ。文三郎尾根へはトレースがしっかりついておりラッセルもなくアイゼンもよく噛んで、ルートに迷う心配も全くない。樹林帯の急登をゆっくりと進む。森林限界を越えると強風も予想される為、昨日のように大汗をかくのは危険だ。樹林帯を抜けると傾斜はよりきつくなる。目の前に阿弥陀岳が雄大な姿を現す。次回山行の下見を兼ねて北陵の岩壁やその横のルンゼを眺めながら、更に高度を少しずつ上げていく。時折強風が吹き、油断していると体がよろける。急斜面にピッケルを刺し、左足、右足と一歩ずつアイゼンを確実に雪や氷に食い込ませながら慎重に登る。山頂に近づくと雪もついておらず岩が剥き出しになっている箇所が多く、アイゼンが滑らないようにより一層注意が必要。片手でピッケルを刺し、片手で岩をつかみながら最後の急登を登り切り、8:30に赤岳山頂に到着。行者小屋からの所要時間は夏のコースタイムくらいの1時間50分。

晴天の山頂からは木曽駒など中央アルプス、甲斐駒など南アルプスの山並み、そして富士山が雲の上で悠然としている大パノラマが堪能できた。ただ気温は低く、風が一層強くなってきたため、山頂で記念撮影して早めに下山することにした。登頂メンバーの体調に問題は無かったが、これから更に風が強まることを想定し、安全面を考慮して未経験の地蔵尾根を下るのを止め、文三郎尾根を戻ることにした。

9:00に下山を開始。急な岩稜帯を慎重に下る。下りでは同じ景色がより広くより大きく見える。阿弥陀岳が同じ目の高さで迫ってくる。阿弥陀岳北陵山頂直下の岩壁横のルンゼを登る小さな黒い粒を眺めながら次の山行へ思いを馳せる。この時間帯の文三郎尾根は登りが大混雑で、20人を超えるような大パーティーを含め50人ほどの登りの人達とすれ違いながらの下降となったが、1時間後の10:00に行者小屋のテン場へ無事戻って来た。テントを撤収して10:40に出発。途中、美濃戸山荘で小休止して美濃戸口には13:00に到着した。体調不良だったメンバーも回復しており一安心。茅野駅行きのバスまでまだ十分に時間があり、それぞれ温泉やビールなどでリラックスした時間を過ごした。(赤星)